発表概要
13:00-13:10 企画趣旨と登壇者の紹介
司会 唐音啓先生
(共愛学園前橋国際大学)
13:10頃~
永井智先生
(立正大学心理学部臨床心理学科 )
「オンライン調査実施の際の留意点とTips」
▼心理学研究において、紙で実施する質問紙調査に代わり、オンラインでのアンケート調査の活用はますます増えているように思われます。オンラインでのアンケート調査は、調査フォームの作成からデータの収集まで非常に低コストで実施することができますが、オンラインによる調査は、質問紙による調査と同等の結果が得られるのでしょうか。広く知られているように、オンライン調査では努力の最小限化といった問題が指摘されています。またオンライン調査では、調査フォームのデザインにも多くの自由度があり、こうした調査フォームのデザインが結果にバイアスをもたらす可能性が指摘されてきました。本発表では、筆者がこれまで行ってきた調査をもとに、Google Formを例に、いくつかの回答形式による違いと留意点について報告します。
13:35頃~
大久保圭介先生
(東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター)
「ペアデータや縦断データの分析やそれらを得るための調査についてのtips」
▼恋愛や親子などのテーマに関心がある人は,二者の関係性にアプローチするためにペアデータを得ることが期待されます。私はこれまでに,恋愛カップルや夫婦,親子のペアデータをいくつかの異なる方法で収集し,分析を行った経験があります。その際のtipsをお伝えできればと思います。また,プロジェクトデータを含め,いくつかの縦断データを得て,それらを分析してきた経験もあります。縦断データ具体的な分析方法と合わせて,それらを実行する上でのtipsについても,お伝えしたいと考えております。よろしくお願い致します。
14:00頃~
下司忠大先生
(立正大学心理学部対人・社会心理学科 )
「Zoteroを使用した文献管理に関するtips」
▼研究者が研究したり,論文を書いたりする際には,膨大な先行研究を調べ,読み込み,整理する必要があります。このようなプロセスにおいて,文献管理ソフトは保存した論文へのアクセスを容易にし,多数の論文をまとめるのに有用です。代表的なソフトウェアとしては,MendeleyやZotero,Paperpileなどが挙げられます。今回はその中でも,Zoteroを使用した文献管理および活用について話題提供をします。ZoteroはPDFの閲覧,ブラウザ上の論文情報の取り込み,文献リストの生成,クラウド同期,共同研究者との文献の共有などの基本的な機能に加え,プラグインを用いてZoteroのPDFリーダー内で翻訳ソフトウェアDeepLを使用したり,オンラインストレージサービスDropboxと連携したりすることも可能です。以上のようなZoteroの機能およびプラグインを実際に活用した経験をtipsとして共有します。
14:25頃~
武藤 拓之先生
(大阪公立大学大学院現代システム科学研究科 )
「広い意味でのオープンサイエンスを心理学の研究と教育に役立てるためのtips」
▼科学研究をより開かれたものにすることを目指すオープンサイエンスは,心理学の再現可能性を向上させるための取り組みのひとつとして近年ますます注目を浴びつつあります。本邦でも2018年に「パーソナリティ研究」が投稿区分として「事前登録研究」や「事前登録追試研究」を追加したことで話題になりました。研究の透明性を高めるための具体的な方法としては,事前登録の他にもデータ・マテリアル・分析スクリプトの共有やプレプリントの公開などが挙げられます。実はこれらの取り組みは,透明性の担保という「大義」を度外視しても,また部分的に取り入れるだけであっても,自身の研究・教育活動の効率化に大いに役立ちます。本発表では,Open Science Framework (OSF) の活用方法やRスクリプトの書き方,ファイル管理の方法など,広い意味でのオープンサイエンスを自身の研究や研究法教育に活かすためのtipsを紹介します。